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梁塵秘抄 西郷信綱著 ちくま学芸文庫

著者は著名な古典文学者であり、本書は梁塵秘抄のすべてを記載するのではなく、代表的な歌について、著者なりの意見を述べ、また、他の歌集との差異についても述べている。
梁塵秘抄は後白川法皇(1127年~1192年)により、1169年頃、成ったと言われている。

手元にある「日本史年表」によれば、この前後の文化的歴史は下記の様である。

1010年 源氏物語成る
1185年 平家滅亡
1244年 平家物語成る

なお、後白川法皇は編纂をしたが、主体は遊女であったといわれる。

私が、一番印象的に思ったのは、800年も前の言葉が現在も生き続けていることである。

下記の本の表紙にも載っているように、「独楽あそび」が当時もあり、

「蝸牛(かたつぶり)」」「蜻蛉(とうぼう)」「田螺(つぼ)」「海老」「独楽(こまつぶり)」「虱」「法螺貝」「鵜飼」「篝火」「牡蠣(*1)」など、また、仏教語(*2)も遊女らが日常的に使っていた、というのは、驚きである。

(*1)牡蠣は「択食魚(つわりな)」と言われ、妊婦の滋養食とされた。
(*2)著名な歌は、
仏も昔は人なりき 我等も終には仏なり
三身仏性具せる身と 知らざりけるこそあはれなれ

日本語が英語と並び評されるが、ある本で、英語が成ったのは、ほんの最近のことであり、英国では、フランス語を公用語としていた、時代もある、とのことである。

まだまだ、私たちは自国の言葉や文化を知る必要があるのでは、と感じた。

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by kazuo018207 | 2017-05-02 13:31 | 読後感想  

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